Sustainability
環境・安全への取り組み
セントラル硝子グループは、レスポンシブル・ケア活動を通じ、地球環境と人々の健康と安全に配慮し、豊かな社会環境実現のため活動してまいります。
環境・安全マネジメント
当社グループの企業理念、行動規範に基づき、「環境・安全・衛生ガイドライン」を制定しています。適切な法対応は当然ながら、より高い水準で企業活動を行い、社会要求を達成し、安全で働きやすい職場を目指し、環境・安全のマネジメントを推進しています。
環境・安全・衛生ガイドライン
セントラル硝子グループは、レスポンシブル・ケア活動の考え方に基づき、開発から製造、物流、使用、最終消費、リサイクルを経て廃棄に至るすべての過程において、環境・安全・衛生を確保し、社員一人ひとりが誠実に活動を行い、その成果を公表し、社会との対話・コミュニケーションを行います。
マネジメント システム |
法令遵守 | 法令や各種規制の内容を正確に把握し、確実な対応を行います。 |
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継続的改善 | 規程・基準等のルールに基づき活動し、継続的改善に努めます。 | |
未然防止・ リスク対応 |
問題発生の未然防止に努め、問題が発生した際には、真因分析を適切に行い再発防止に努めます。 | |
定期的な調査、監査により、各種要求に対する適合性及び妥当性、有効性の確認を行い、必要な場合は適切な処置を行います。 | ||
環境保全 | 開発から製造、物流、使用、最終消費、リサイクルを経て廃棄に至るすべての過程における活動が与える環境への影響を把握し、環境負荷の低減活動を推進します。 | |
保全防災 | 火災、爆発、及び化学物質流出などの事故災害の未然防止に努め、社員が安全に働ける労働環境と地域社会の安全・安心を確保します。 | |
労働安全衛生 | 作業環境の潜在的危険性の排除に努め、心身の健康の保持増進につながる活動を推進するとともに、「自らの生命・身体・健康は、自らが守る」活動を推進します。 | |
物流安全 | 輸送手段・輸送状況及び安全性情報の管理並びに事故時の措置の周知徹底を図り、社員、輸送業者、集配業者の安全、並びに環境を保護するための総合的な物流安全確保を推進します。 | |
化学物質管理 | 化学物質の危険・有害性の把握及び適切な管理・取扱いにより、顧客も含めた全ての取扱者の安全と環境を守ります。 | |
コミュニケーション | 活動内容と成果を公表し、全てのステークホルダーの皆様との対話を積極的に行います。 |
環境・安全マネジメント推進体制
当社グループでは、環境・安全推進委員会を設置し、事務局である環境安全部がセントラル硝子グループの環境・安全活動を推進しています。本社・研究所・工場・関係会社では各事業所の特有事項を具体的な活動計画に織り込み、環境・安全に対する取り組みを行っています。

環境保全の推進
セントラル硝子グループのマテリアルバランス
当社グループは、生産活動におけるエネルギーおよび資源の投入量と、生産活動に伴って発生した環境負荷を把握し、環境負荷を低減させる取り組みを続けています。主として、温室効果ガス排出削減、大気・水域への環境負荷物質の排出削減、廃棄物のリサイクル化、廃棄物最終処分量の削減などに取り組んでいます。引き続き、循環型社会を構築するため、資源の消費・廃棄量を把握し、温室効果ガスや環境負荷物質・廃棄物などの発生・排出抑制や循環利用を進めていきます。

温室効果ガス(GHG)排出量削減
中長期目標
「2030年度までにグループ全体でのScope1,2のGHG排出総量を2013年度比60%削減」
「2050年に正味GHG排出ゼロに向けて挑戦」
カーボンニュートラルへ向けた取組み
国内ガラス窯の休止や大規模定修工事による生産の一時的停止により2022年度実績においてScope1,2排出量合計で33.2万t-CO2となりました。また2023年度実績において、Scope1,2排出量合計で35.6万t-CO2となり、板ガラス窯の定修工事が終了し、通常の稼働に生産が戻ったことから対前年度で排出量は増加しました。2013年度の排出量実績から譲渡済の欧米自動車ガラス事業等の排出量を除いた構造調整後の排出量は74.8万t-CO2となります。2023年度の排出実績において2013年度比で52.3%削減したことから、従来の2030年度目標「GHG排出量:2013年度比40%以上削減」を前倒しで達成しました。そこで、今般、中期目標の見直しを行い新たに「GHG排出量:2013年度比60%以上削減」という2030年度目標を設定しました。

水使用量の削減
2023年度は、前年度同等の取水量の売上高原単位である61.1m3/百万円を目標として取組んだ結果、当社グループ全体では取水量の絶対量は対前年でわずかに減少しました。しかし、前年度実施した板ガラス製造ラインの定期修繕からの再稼働や売上構成の変化の影響により、微増の62.4m3/百万円となり、目標未達となりました。引き続き、水使用の効率化を積極的に進めることで、中長期的に取水量の売上高原単位を低下させていきます。

大気汚染物質の排出状況
当社グループでは、大気汚染防止法または各国法規制並びに立地する地域の排出基準に従い、SOx(硫黄酸化物)、NOx(窒素酸化物)、ばいじんなどの大気汚染物質の排出濃度・排出量をモニタリングしています。一部のプラントでは、環境保全のための設備として排ガス中のSOxには脱硫装置を、NOxには触媒吸着装置、ばいじんには電気集塵機を設置し、大気汚染物質を回収したのちに大気排出しています。2023年度は設備再稼働により、大気汚染物質の排出量は対前年でわずかに増加しました。引き続き確実な管理を行っていきます。

水質汚濁物質の排出状況
当社グループでは、水質汚濁防止法または各国法規制並びに立地する地域の排出基準に従い、COD、全リン、全窒素などの水質汚濁物質の排出濃度・排出量をモニタリングしています。それぞれのプラントでは、環境保全のために必要な排水処理施設を設置し汚濁物質を除去、また、排水中の有効成分を回収したのちに排出しています。2023年度は生産量の減少により、水質汚濁物質の排出量は対前年でわずかに減少しました。引き続き確実な管理を行っていきます。

廃棄物削減
当社グループでは、レスポンシブル・ケア活動を通じて、3R(リデュース、リユース、リサイクル)を一層推進し、産業廃棄物の排出削減に努めると同時に、廃棄物の処分が適正に行われるよう管理を徹底しています。2023年度は産業廃棄物排出量が2022年度に比べ減少しました。再資源化量も2022年度に比べ減少し、最終処分量は8.3千tonとなり、2023年度の削減目標を達成いたしました。
プラスチック使用製品産業廃棄物等はプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行(2022年4月1日)に伴い、2021年度から集計を開始しました。2023年度のプラスチック使用製品産業廃棄物量は2022年度と比べほぼ同量となりました。排出先の処理業者での再資源化量は2022年度に比べ減少し、再資源化率は低下しました。今後もプラスチック使用製品産業廃棄物等の排出の抑制および再資源化等に関する取組みを進めていきます。



労働安全衛生・保安防災の推進
労働安全衛生の推進
当社グループでは、安全な職場を目指し、年度ごとの「安全衛生管理方針」の策定により、国内外の各事業所で労働安全衛生活動を推進しています。作業環境の潜在的危険性の排除に努めるとともに、「自らの生命・身体・健康は、自ら守る」活動を推進しています。2023年度の当社および国内関係会社、協力会社の労働災害発生件数は、休業災害8件(2件増)、不休災害13件(8件減)の計21件でした。

*休業度数率=(休業災害死傷者数/延べ労働時間)x1,000,000
化学工業の休業度数率は、厚生労働省令和5年労働災害動向調査結果を参照した。
保安防災の推進
当社グループでは、火災爆発および化学物質流出などの事故ゼロを目指し、保安防災体制の整備を進めていますが、ここ数年は、フォークリフトによる物損事故が多く特に注視して取組んでいます。
2023年度は、事故事例を基にした原因・対策に関するディスカッションや外部講師によるフォークリフトの講習を継続することで、協力会社も含めて事故防止に努めています。
気候変動問題への対応
1.基本的な考え方
気候変動問題への対応は、持続可能な社会の実現のため地球規模での取組みが求められる重要課題の一つです。当社グループでは、環境配慮製品の提供による環境貢献や、省エネルギーや燃料転換による温室効果ガス(Greenhouse Gas、以降GHG)の排出削減に取り組むとともに、GHGの回収・活用に向けた研究開発を推進しています。
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に対しては、企業として気候変動問題に真摯に向き合いその取組みを推進し、積極的な開示に努めてまいります。
2.GHG排出量推移
GHG排出量(Scope1,2)

- 譲渡済の欧米自動車ガラス事業等の排出量を除く
GHG排出量データ
(単位:万t-CO2)
2013※ | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2030年度 目標 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
Scope1 | 60.2 | 39.4 | 37.1 | 34.6 | 21.4 | 23.4 | ― |
Scope2 | 14.6 | 17.6 | 14.5 | 13.8 | 11.8 | 12.2 | ― |
Scope1+2 | 74.8 | 57.0 | 51.6 | 48.3 | 33.2 | 35.6 | 29.9 |
対基準年削減比 | ― | Δ23.8% | Δ31.0% | Δ35.4% | Δ55.6% | Δ52.3% | Δ60% |
- 譲渡した欧米自動車ガラス事業等の基準年におけるGHG排出を控除した排出量
3.TCFD提言に基づく情報開示
ガバナンス
当社グループでは気候変動問題を含む環境問題、社会課題に対応する取組みについて業務執行の意思決定機関である「経営会議」で協議・決裁しています。また、各課題への取組み状況等を組織横断的に分析、評価するとともに、必要に応じて対応方針等について個別に協議し、その結果について適宜取締役会に報告、提言することを目的に、サステナビリティ委員会を設置しています。取締役会は、「経営会議」および「サステナビリティ委員会」で協議・提言された内容を受け、当社グループの環境課題等への対応、進捗等についての議論・監督を行っています。
戦略
当社グループでは、気候関連のリスクおよび機会がもたらす事業への影響を把握するため、下記事項を実施しています。
- 気候関連のリスクおよび機会の特定
- 各リスク・機会について影響度、発現の時間軸および可能性の評価(簡易的なシナリオ分析)
「移行リスク」は、社会・経済の脱炭素化の過程で生じるリスクのことであり、規制・技術・市場・評判の観点から分類されます。これら分類にしたがって、当社事業に関連すると考えられる要因を整理して示しています。
「物理的リスク」は、急性リスク(台風、洪水、干ばつ、熱波といった気象関連の事象が高頻度化・激甚化することで生じるもの)や慢性リスク(地表の平均気温の上昇といった気候パターンの長期的な変化から生じるもの)の観点から分類されます。これらについて、同様に整理を行っています。
「気候関連の機会」は、当社グループの事業が社会・経済の脱炭素化の進展または気候変動に起因した気象や気候パターンの変化において獲得しうるものという観点から整理しています。
以上の観点を踏まえ、気候関連のリスクおよび機会とそれらの影響度などを整理した結果は以下の表の通りとなります。
時間軸 | 短期:3年程度 | 中期:2035年まで | 長期:2036年以降 |
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発見可能性 | |||
影響度(売上高) | |||
影響度(費用・利益) |
参照した主なシナリオ
- 2℃未満上昇:国際エネルギー機関(IEA)「世界エネルギー見通し2023年版」(WEO 2023)、APS(発表誓約シナリオ)
気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)第4版、「Below 2℃」シナリオ - 4℃上昇:気候変動に関する政府機関パネル(IPCC)第6次評価報告書(AR6)
気候関連のリスクおよび機会とそれらの影響度
領域 | 要因 | 事業影響 | 時間軸 | 発現 可能性 |
財務影響 | 影響度 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
移行リスク | 規制 | 炭素価格等のGHG排出規制強化 | (自社排出分) 炭素価格上昇による操業コスト増加 |
中期 | 製造コストの増加 | ||
(サプライチェーン上流排出分) 炭素価格上昇による原燃材料価格の上昇 |
中期 | 製造コストの増加 | |||||
省エネ法規制の強化 | Scope2削減要求による再生可能エネルギー(風力、太陽光、等)の調達量の増加 | 中期 | 製造コストの増加 | ||||
設備更新・投資などの増加 | 中~長期 | 製造コストの増加 | |||||
技術 | 顧客の要求水準の変化 | 環境性能のより高い他社製品への需要のシフト | 中~長期 | 売上の減少 | |||
低炭素経済の進展 | 環境性能のより高い製品の開発のための研究開発費や設備投資の増加 | 中~長期 | 研究開発費や設備投資の増加 | ||||
評判 | 投資家からの評価の変化 | ESGへの取り組みに対する評価の低下による資金調達コストの増加 | 中期 | 資金調達コストの増加 | |||
物理的リスク | 急性 | 風水災等の気象災害の増加・激甚化 | 事業所の被災、操業停止 物流網被災による操業停止、代替品調達、販売先企業の被災による販売機会の逸失 |
短~中期 | 復旧コストの発生、売上の減少 | ||
慢性 | 熱波および慢性的な気温上昇 | ヒートストレス、感染症リスクの高まりによる操業度の低下、販売機会の逸失 | 短~中期 | 売上の減少 | |||
空調の電気使用量の増加、設備故障等によるメンテナンスの増加 | 短~中期 | 製造コストの増加 | |||||
少雨による干ばつの増加 | 水ストレス(水量不足・水質悪化)の高まりによる操業度の低下、販売機会の逸失 | 短~中期 | 売上の減少 | ||||
気候関連の機会 | 製品およびサービス | 冷媒規制の強化 | GWP値の低い冷媒用途製品(HFO)の需要の増加 | 中~長期 | 売上の増加 | ||
省エネ性能の高い製品の需要の高まり | 断熱フォーム用途製品(HFO)の需要の増加 | 中~長期 | 売上の増加 | ||||
断熱・遮熱性の高いガラスの需要の増加 | 中~長期 | 売上の増加 | |||||
IOTを通じたエネルギー効率化需要の高まり | 半導体製品の需要の高まりによる、プロセスガスや半導体装置用クリーニングガス等の需要の増加 | 中期 | 売上の増加 | ||||
EV市場の拡大 | リチウムイオンバッテリーの需要の高まりによる、電解液の需要の増加 | 中~長期 | 売上の増加 |
インターナルカーボンプライシング制度の導入
当社グループは、GHG排出量(Scope1、Scope2)の削減目標達成に向けた取組みの一環として、2023年6月より、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入しています。本制度は、社内炭素価格を用いて炭素コストを可視化し、設備投資の意思決定に活用するものです。当社グループとしては、今後さらに高まる温室効果ガス排出量削減要求への対応として、排出量削減投資を促進していきます。
参考:社内炭素価格(導入時):10,000円/t-CO2
リスク管理
事業運営に関わるリスクについては、各事業部門がリスクの特定とその影響度を評価し、適宜経営層に報告しております。また、サステナビリティ委員会では、気候変動等による事業リスク・機会や対策を組織横断的に共有し、分析・評価し必要に応じて適宜取締役会に報告・提言を行っています。
特にGHG排出量(Scope1、Scope2)については、2030年目標と、2050年正味GHG排出量ゼロ目標の実現に向けて、2023年度より中長期の「GHG排出量削減目標管理スキーム」の運用を開始しています。本スキームは、将来排出量の推計、目標達成可能性の評価、排出量削減のアクションプランの策定と、必要に応じた当該プランの修正を主な取組みとしており、当社グループのGHG排出量削減活動の重要プロセスと位置付けています。
指標と目標
- 2030年度に海外を含めたグループ全体でのGHG排出量(Scope1、Scope2)を2013年度比60%削減を目指す。
- 2050年に正味GHG排出ゼロを目指す。