R&D

研究開発への想い

「ガラス製品」「化学製品」2つの主軸

セントラル硝子の主力商品は「ガラス製品」と、フッ素化合物などの「化学製品」です。主に基礎材料を扱っているため商品数は多く、取引先も、住宅・建築、自動車、電気機器、モバイル、医療、食品など、「関わっていない業界はない」と言っても過言でないほど多岐にわたります。

ガラス製品については、省エネ、防犯、遮音、断熱など、当社の技術により「いかに付加価値をつけていくか」という、高機能化をコンセプトに研究開発を進めています。

一方、化学製品は、ニーズにマッチした技術を見つけ出すための基礎研究が重要です。目的が明確で商品開発がメインとなるガラス製品とは異なり、目的を達成するためにどのような方法があるのかプランを立てるところからスタートし、いくつかの研究を同時進行で行います。想定した方法が成功するとは限らず、商品として形になるまでに10年以上かかってしまうことも珍しくありません。

2つの技術力の融合で
さらなる付加価値を生み出す

これまでも新たな価値を生み出すために「ガラス」と「化学」という二つの分野の融合を試みてきましたが、アプローチが異なる2つの分野を組み合わせることは容易ではありませんでした。そこで、形としてマッチングさせるのではなく、それぞれで培われた技術力を合わせて新しい商品を作り出せないかと試みた成功例が、「パターンキーパー™(PKシリーズ)」です。

ガラス部門で長年培われてきたガラス表面処理技術と、化学部門のナノオーダーでのゴミの無いクリーンな環境で半導体材料を量産する技術を融合し、半導体の生産過程で使用される画期的な「半導体ウェハ撥水乾燥薬液」を開発しました。

この製品は、お客様から「半導体の生産ラインで、ゴミを洗い流し乾燥させる工程があるが、毛細管現象により、水を乾燥させると半導体がくっついてしまうため困っている」と相談を受けた営業社員の「くっつかないようにする薬剤が作れないだろうか?」という提案により、実現しました。

実は、当社には「こんな商品が欲しい」「こんなことで困っている」と言ったリクエストや問い合わせが、たくさんあります。特に、フッ素原子を導入することにより、本来の機能が数十倍に高まることが知られているため、「こんなものは作れないか?」という問い合わせが、世界中の多様な業界から届きます。

営業や他部門、お客さまから集まってきたニーズを、今まで培ってきた技術とマッチングさせ、新たなソリューションを提供・実現していくことが、セントラル硝子の役割だと考えています。

膨大な研究データと人材が、
使う側に立った商品を生み出す

近年では、分析・解析機器の発展により、以前は商品化できなかった過去の研究が活用できることもあります。失敗したものも含めて、蓄積された膨大な研究データこそ、セントラル硝子の宝です。

その技術を商品に結び付け、ソリューションとして必要としている人に還元していくためには、何より情報共有が大切です。当社では、社長や役員も出席する「年に一度の研究発表会」のほか、本社関連事業部、全国の工場と各研究所間の情報共有、研究者間で研究の進捗状況をチェックする会議などを実施し、研究者と営業担当との密なディスカッションに努めています。

特にファインケミカル事業部門の営業は研究所の出身者が多く、技術に精通していることも当社の特徴だと言えるでしょう。「ニーズを集め」「宝であるデータ」を活かしていく人材もまた、セントラル硝子の財産なのです。

小さな成功の積み重ねが、
未来の技術を生み出すモチベーション

現在は、有機合成と微生物を使って不斉合成をコントロールする技術を組み合わせた薬品開発や、パワー半導体向け素材・材料、リチウムイオン電池用の電解液など次世代エネルギー関連製品などの研究も進めています。

技術がなかなか商品にマッチングしないことや、商品になるまでに時間がかかることもあります。ただ、「前回1グラムしか作れなかったものが、今回は5グラム作れた」といった小さな成功の積み重ねが、課題をクリアし、未来の技術を生み出そうというモチベーションにつながります。小さな会社ですが、データを蓄積し裾野を広げていくことで、新たなソリューションやアプローチが可能となり、可能性が無限に拡がって行くのです。