仕事に活きる、学生時代の研究内容

 私の所属している研究室は、真空を使ったコーティング技術に関しての研究・開発を行っています。その中でも私は「スパッタリング」という技術を専門に検討しているグループに所属しています。スパッタリングは、真空内でプラズマを発生させて素材を飛ばし、対象となる物質にコーティングをする技術です。大学時代は、ガラスではなく単結晶を扱っていたので、そのまま同じ研究ではありませんが、知識と経験は活かせています。
 スパッタリングでコーティングされた製品には「エコガラス」という名称で売られているLow-Eガラスがあります。可視光は通すけれど、熱に相当する赤外光は通さないという特徴のあるガラスで、これは表面上にナノメートルオーダーの誘電体と金属を交互にコーティングすることで作られています。

学生時代とガラリと変わった環境と思考

 Low-Eガラスは、セントラル硝子が以前から扱っている商品です。私が取り組んでいるのは、より夏場の日射を遮る能力の高いガラスや、自然な色に見えるガラスを作れないかという研究です。
 大学時代の研究との大きな違いの一つは、対象の表面積です。大学では小さな物質に対しての研究でしたが、ガラスは何メートルもの大きさがあります。研究所ではそれほど大きなガラスは扱いませんが、最終的には工場で非常に大きなコーティング装置を使って生産することになるので、大面積化に伴う新たな課題も出てきます。また、商品化にはコストの問題が切り離せませんので、研究の段階からコストを考慮して実験するようにしています。
 常に「会社として生産する価値があるかどうか」を念頭に置いて、やり方を考えるというのが、学生時代との最大の違いかもしれませんね。